文:立古和智
エアバギーココ
これまでのモデルに比べ、さらなる小型/軽量化がはかられたモデル。アーバンユースに最適なショートレンジが、高いハンドリング性能を約束する。
価格45150円。重量8キログラム。
2010年グッドデザイン賞受賞
カラーバリエーション
豊富なカラーバリエーションは、全7色。アーバンユースとあってシックなカラーが多いのと、スポーティさが抑えられているのが特徴的。これなら、街に、パーティに、アウトドアにと、行き先を選ばない。
3 in 1
数年間ベビーカーとして使用した後は、ドッグ用カートに、またはショッピングカートに。シートを代えれば、使い慣れたエアバギーのフレームを、末永く使用できる。エコの観点からも優れたコンセプトだ。

Photographer:Yasuhiko Roppongi
飯田美恵子
プロダクトデザイン、マーケティング、マーチャンダイジングの分野で、キャリアを重ねてきた
さらなる小型化と軽量化をめざして
2006年にエアバギーミミがリリースされた後、エアバギーミミ・ダブルとエアバギーランを除いて、主軸となるモデルの発表からは遠ざかる。そして2010年、待望の一台となったのがエアバギーココ。開発に要した期間は2年。コンセプトは、ミミのときと大きくは変わらない。さらなる「小型化」と「軽量化」、そして「お客様の声に忠実に」が柱となった。
「開発するといっても、一発でこの形に決まるわけではなくて、ここに至るまでには数え切れないくらい形を変えています。“作りながら変えて”の繰り返しです」。ベビーカーはバランス設計(Story4参照)。ゆえに、高くした、低くした、長くした、短くした、という単純な変更では立ちゆかない。試行錯誤はつきものだ。そして、その先に待ち構えているのが、ドイツの安全基準「TUV」のテスト(Story5参照)。
「“15キロの重りを載せて、3方向に12度に傾けても転倒しない”“TUVで定められた条件を超える状況下での走行テストや転倒テストを繰り返す”などと、厳しいテストを課しながら、何度も試作を繰り返して、完成へとこぎ着けるわけです。当然、時間も開発費もかかってきます」
グッドデザイン賞へと導いた、新コンセプト「3 in 1」
ミミがパリッとした発色で、いくぶんアウトドアをイメージさせるのに対して、ココのしっとりとした風合いは、アーバンユースを想わせる。ミミに比べると、よりショートレンジとあってハンドリング性能も良くなった。この辺りは「お客様の声を大切に」の部分。これで狭い道や、人通りの多い路地でも困らされることはない。
子どもの成長とともにわきに追いやられてしまう宿命にあるベビーカーを、永く活用する新コンセプト「3 in 1」が提案されたのも、ココがリリースされたときだ。シート部分を、ドッグ用のカートやショッピング用のカートに代えれば、エアバギーの役割は様変わりする。エコロジーの観点からも先進的な当コンセプトは高く評価され、ココは2010年のグッドデザイン賞に輝く。優れた意匠と機能性だけでなく、21世紀のメーカーならではの姿勢が認められての受賞である。
みんなの「歩く」を快適にしたい
「世の中には、こんなにも足が不自由な人がいるのか」「こんなにも危険な段差、下り道があるものか」と飯田が肌で感じたのは、自身が膝を骨折し、車イスと松葉杖の日々を過ごした2005年。以来ベビーカーにはじまった「歩行の補助」は、「3 in 1」を経て、足の不自由な高齢者までもを対象として見据えることに。
「いつか高齢者向けに歩行器を作りたい。おしゃれで安全に使えるもの、バッグにきちんと防犯対策をほどこしたものを。私の最終的な夢は、小さな子どものいるママだけでなく、みんなの足を助けること。みんなの歩くを快適にすることなのです」
2011年8月現在、38名からなるGMPインターナショナルは、初代エアバギーを生み出して以来、10年目の区切りを迎えた。地道な品質アップはエアバギーミミで花開き、さらに進化したエアバギーココはミミを凌ぐ勢いで、世に受け入れられている。もちろん、これはゴールではなく通過点に過ぎない。「エアバギーは永遠に止まることのないプロトタイプ」と繰り返す飯田の言葉にもある通り、その進化は止まらない。さらなる高みを目指してのチャレンジは、これからも永遠に続けられる。
