荒川さんファミリーは、パパの幸祐さんとママの緑さん、そして1歳1ヶ月になる娘の祐月(ゆづき)ちゃんの3人家族。幸祐さんは写真家・映像制作者の活動をしながら、ブラジルの伝統芸能カポエィラの先生としても活躍。また緑さんは会社員として働きながら自宅でコンポストに取り組むなど、環境にも人にも優しい暮らしを意識したライフスタイルを大切にしている。
「ご家族みんなで、ドイツへ遊びに来ませんか?」と誘いをうけたのは、祐月ちゃんが生まれて半年が経った頃。パパの幸祐さんが講師をしている、ブラジルの伝統芸能カポエィラのワークショップへの招待だった。嬉しかったが即決は難しかったというパパの幸祐さん。「まだ娘も小さいし、最初はえーっ!と戸惑いもあったんですけど、元々2人とも旅好きで、いつか子どもを連れて旅行したいねと話をしていたんです。せっかくの機会だし行ってみよう、チャレンジしてみようと、ドイツへ行くことを決めました」。
ドイツ行きが決まると、早速、旅の準備をスタート。それまで、幸祐さんの友人から譲りうけたエアバギーとマキシコシを組み合わせて使用していたが、旅行中の荷物量を極力減らしたく、シートタイプへ切り替えることに。「エアバギーをもらった時に、友人からシートは新調してねとアドバイスをもらっていたんです。それでシートを替えるついでに全体の点検も兼ねて、メンテナンスパッケージを依頼しました。ひとつ前の古い型式だったのですが、タイヤやハンドルなど部品の交換もしてもらえて想像以上に綺麗になって戻ってきたのでびっくりしました」。
ドイツでの滞在は約1ヶ月。はじめての挑戦に期待と不安で胸が高鳴る。出発当日、3人分の荷物を詰め込んだ大きなスーツケース2つとリュックサック2つ、そしてエアバギーを持って、いざ空港へ。「日本の空港では、チェックインカウンターで搭乗口までベビーカーを持ち込めると案内を受けたのですが、トランジット先の海外の空港では、預け入れが当たり前という感じで対応され、娘もまだ幼かったので、今回はベビーカーを預け入れにしたのですが、いざ預けるときにパッキングをしてもらえなかったのは想定外でした。さらにボトルホルダーなどの付属品をすべて外すように指示があり、思いがけず手荷物が増えたのでちょっと困りました。事前に確認しておけばよかったです」とのこと。荷物の預け入れに関しては航空会社で規定が異なるため、サイトや窓口で事前にチェックする方が良さそう。
赤ちゃんが飛行機に乗るときの工夫を緑さんが話してくれた。「飛行機に長時間乗るので、なるべく娘への負担が少ないように、普段寝ている時間に合わせて便を選びました。そのおかげもあってか、飛行機のなかでもグッスリ寝てくれて、離着陸時に大泣きしたりということもなく安心しました。あと旅行前から抱っこ紐の中で寝る練習をしていたので、ぐずり始めても抱っこをして機内を少し歩いたりすると、すぐに落ち着いてすやすや寝てくれたので助かりました」。
無事にドイツのミュンヘンへ到着。時差ボケや移動の疲れをとるため、はじめの数日は遠出を控えて、ミュンヘンの街中で散歩や買い物を楽しんだ。街をのんびり散歩していると、目に飛び込んできたのは、日本では目にしない様々な形のベビーカーたち。「石畳で道が悪いからか、とにかく車輪も大きいし、ベビーカー自体のサイズもすごく大きいんですよね。しかも大きなベビーカーを、変に遠慮することもなく堂々と押して歩いているし、周りの人も理解があるというか。ベビーカーを持っていることは特別じゃない、子どもと一緒にいるのは当たり前、という空気を感じました」。
ビアガーデンに行ってみると、ベビーカーがあるのはもちろん、隣接する公園で子どもたちが遊んでいる。「親がお酒を楽しむ場所と、子どもが安全に楽しく過ごせる場所が一緒に存在してたんです。日本だと大人と子どもの世界を切り離す印象があるんですが、お互いが楽しく過ごせる選択肢がある、ということがとても素敵だと思いました。あと驚いたのは、お父さんと赤ちゃんが2人で行動している姿の多いこと。それも平日の昼間から、お父さんがベビーカーを押して歩いていたり、公園で子どもと2人で遊んでいたり。日本ではなかなか見られない光景で、はっとしましたね」。
ビアガーデンに行ってみると、ベビーカーがあるのはもちろん、隣接する公園で子どもたちが遊んでいる。「親がお酒を楽しむ場所と、子どもが安全に楽しく過ごせる場所が一緒に存在してたんです。日本だと大人と子どもの世界を切り離す印象があるんですが、お互いが楽しく過ごせる選択肢がある、ということがとても素敵だと思いました。あと驚いたのは、お父さんと赤ちゃんが2人で行動している姿の多いこと。それも平日の昼間から、お父さんがベビーカーを押して歩いていたり、公園で子どもと2人で遊んでいたり。日本ではなかなか見られない光景で、はっとしましたね」。
旅行中の主な移動手段は、電車やバス。ここでもカルチャーショックを受けたと、幸祐さんが教えてくれた。「ドイツだと、電車やバスにベビーカーや自転車がそのまま乗り込めるんです。車両内にそれぞれ専用エリアがあったりするので、こちらも気兼ねなく利用できるし、周りの人も自然と運ぶのを手伝ってくれたりして。日本でもベビーカー専用エリアなども普及してきているそうですが、まだなんとなくベビーカーや子ども連れは周りに申し訳ないみたいな意識があると思うんです。ドイツだとそういった引け目を感じることがなくて、当たり前のこととして堂々と利用できてよかったですね」。
旅行中は普段に比べて移動も多く、座って過ごす時間が長いことが気になっていた緑さん。祐月ちゃんの負担を考えて、こまめに体を横にして休む時間を作るようにしたそう。「ずっと座っているのは、体にも悪い気がして。エアバギーだとシートを倒せば横になれるので、すぐに休める環境を作れるのはすごく助かりました。夏でかなり暑かったので、布地のカバーをめくって網戸状にして、風が通るようにしていました」。おむつ替えもシートを倒した状態で、ベビーカーの上で。「ドイツのトイレにもおむつ交換台はあったんですけど、やっぱり衛生面の不安とか、台もすごく固そうだったりで、ちょっとその上に寝かせるのに抵抗がありました。エアバギーはシートを倒せるので、簡単におむつを替えられるスペースをつくることができました」。
ドイツの気候や雰囲気に慣れてきたところで、カポエィラのワークショップの開催地であるマールブルクへ移動。歴史的な街並みが印象的な旧市街地で、石畳の道や坂道も多い。日本で使っている段階からエアバギーのタフさや操作性を気に入っていた幸祐さん。ドイツの旅でその思いがさらに強くなったという。「ドイツは悪路がかなり多かったのですが、エアバギーはエアタイヤなので振動も少なく、娘を乗せていても安心感がありました。ベビーカーを押す手への振動にも不安を覚えなかったのは、程よい重量感と頑丈なつくりのおかげなのかなと思いますね。あと坂道が多い街だったので、手首とベビーカー本体を繋ぐリストバンドをつけたり、ハンドブレーキを引きながら歩くなどしました。道の悪さを気にせずにお出かけできたのは、とても嬉しかったですね」。
また荷物が多いときは、カートとしても活躍。「娘を抱っこして、重い荷物をベビーカーに乗せて運ぶこともありました。フレームが頑丈なので、たくさん荷物を乗せても大丈夫そうだなと思って。その辺もすごく頼りになりましたね。給水場でペットボトルに汲んだ飲み水を、常にバスケットに入れて持ち歩いたり、重いものは全部エアバギーに乗せて移動してました」。
旅の目的のワークショップには、祐月ちゃんも参加。ドイツの仲間と一緒に太鼓を叩いたり、参加者の方に抱っこしてもらったり、いい時間を家族で過ごすことができたとのこと。緑さんはこう振り返る。「旅に行く前は不安もありましたが、実際行ってみると赤ちゃん連れのほうがドイツの方は優しいんですよね。私たちはドイツ語が流暢なわけではないので、通じ合えないところもあったのですが、目が合ってただ微笑みあうとか、話しかけてくれたりとか、そういうコミュニケーションも生まれたりして。それも娘がいたからこそだったかなと思います」。
今回の旅は、これからの子育てを考える大きなきっかけになったと幸祐さんはいう。「娘のためにもいい旅にしたいと、自然とゆっくりとしたペースで、息を合わせて過ごしたおかげで、新しい気づきがたくさんありました。子どもが色々なものに触れる機会をもっと作りたいし、自分たちもこれまでの常識が覆されて、新たな可能性が見えてくる。子育てをするなかで、これからいろんな課題が出てくると思うんですが、そういうときに旅の経験がいいヒントをくれるんじゃないかな。これからもエアバギーと一緒に色々な場所を旅したいと思っています」。
「慣れない環境のなか、移動する時間が長かったりと、子どもの体への負担が心配だったのですが、いつでも寝かせたい時に寝かせてあげられるという状態でいれたことは、すごくありがたかったです」
「ドイツは古い街並みが多く残っていて、道も石畳で結構でこぼこしていたのですが、エアタイヤだと子どもへの振動も少なく安心して使えました。飛行機で運んだり、石畳の上で使ったりとハードな環境も多かったのですが、フレームが頑丈なので、壊れる心配もせずに使えてよかったです」